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道徳的ジレンマ [社会]

my challenger's log Ⅱ 2冊目

 皆様方のいつも温かいご支援を感謝いたします。


 my challenger's log 一冊目は、

 こちら

 http://mwainfo.blog.so-net.ne.jp/ 

 より閲覧願います。


 記録的寒波、襲来だという。 異常気象のツケは計り知れない。

 井上靖の長編小説に、「氷壁」、厳冬の冬山登山中、滑落事故で、切れるはずのないナイロンザイルが切れた謎を追う長編小説があった。


 ここに、抜き差しならぬ命題がある。

 山の滑落事故で、宙吊りになった人間は、親友と結ばれたザイルがこれ以上持たないと思った時、自らザイルを切って相手を救う道を選べるか、という問題である。

 マイケル・サンデル、「これからの正義の話をしよう」の中で、「アフガニスタンのヤギ飼い」の話がある。

 特殊部隊が、山岳地帯の偵察中、ヤギ飼いの少年に出会う。このまま解放すれば、部隊の存在を通報される危険がある。民間の少年だということで、少年を解放するが、その後、部隊はタリバンに急襲され全滅する。

 「暴走する路面電車」では、前方のレール上に、5人の作業員が工具を手に線路上に立っている。ブレーキをかけるがブレーキがきかない。ふと右側の待避線が目に入る。だがそこにも一人の作業員がいる。

 「待避線に入れ!5人を殺すよりましだ」

 もうひとつ、別の物語がある。今度は傍観者の立場だ。

 線路を見下ろす橋の上に立っているとしよう。その時、線路上を暴走する路面電車、前方に5人の作業いる。ブレーキはきかない。だが、待避線はない。そのとき、隣にとても太った男がいる。その男を橋から突き落とし、路面電車の行く手を阻むことができる。

 5人の作業員は助かるだろうが、橋から突き落とされたその男は、死ぬだろう。

 この「道徳的ジレンマ」を解決する手立てはあるのだろうか。

 「氷壁」に戻ろう。

 人間、自己の生死がかかった時、ザイルを自ら切って、親友を救う咄嗟の選択ができるだろうか!


 1/24付、産経新聞に、曽野綾子さんは、「小さな親切、大きなお世話」、「利己的な年寄りが増えた」を投稿している。

「トリアージ」、(傷病兵、被災者などの)負傷程度による治療優先順位の決定方式、についてである。

トリアージ(仏: triage)とは、患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。  救急事故現場において、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定などにおいて用いられる。識別救急(しきべつきゅうきゅう)とも称する。 (Wikipediaより)



 自らの命と引き換えに、他者を救う究極の選択である。利己的な年寄りだけではない。命を投げ出すことは容易ではない。生きながらえる願いは、誰しも持つ。


 「死んでもいいというべきではないが、死ぬべき時は必ずある」、曽野綾子さんのこの言葉は重い。


 全ての者には限度がある。そこで交代、消滅、忘れ去られる義務、なども発生し、結果として若い命が伸びる」

 クリスチャンならではの言葉なのだろうか。

 「自分が受けてもいい権利を自ら放棄する自由を、明確な意志のもとに行使する判断や勇気が望ましい」とも言う。

 常日頃の、生死との決別への深い覚悟が必要なのだろうか。

 深い信仰を持たぬわれわれが、重大な岐路や選択を迫られた時、どう対処するであろうか。この時こそ、人生や他者への真摯な向き合い方が、問われるのかもしれない。


 ナイス、コメント欄は閉じております。御了解下さるようお願い致します。



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